古代
アイルランドのキリスト教化と聖パトリックの布教
🇮🇪アイルランド
アイルランドへのキリスト教の伝来は5世紀に本格化した。同時代の年代記作者プロスペルによれば、431年に教皇ケレスティヌス1世が「キリストを信じるアイルランド人」のための司教としてパッラディウスを派遣している。これに続いて活動したのが、のちにアイルランドの守護聖人とされる聖パトリックである。パトリックはローマ支配下のブリテン島に生まれ、少年期に襲撃者に捕らえられてアイルランドで数年間奴隷として働いたのち脱出し、聖職者となって再びアイルランドへ渡って布教にあたったと、自身の著作『告白』に記している。伝承では432年に渡来し461年に没したとされるが、生没年や渡来年には諸説がある。ローマ帝国の支配が及ばなかったアイルランドでは、都市ではなく修道院を中心とする独自の教会組織が発達し、6世紀以降はアイオナ島に修道院を開いたコルンバや大陸で伝道したコルンバヌスらが各地へ進出した。修道院では写本制作と学問が栄え、『ケルズの書』に代表される装飾写本を生み出した。