中世
イドリース朝の成立 ― モロッコ最初のイスラーム王朝
🇲🇦モロッコ
アッバース朝に対する蜂起(786年のファッハの戦い)に敗れて東方から逃れた預言者ムハンマドの子孫イドリース1世が、マグリブ西部の古都ワリーラ(ローマ時代のウォルビリス)に至り、789年頃に現地のベルベル系アウラバ族から指導者として推戴された。これがモロッコで最初のイスラーム王朝イドリース朝の始まりとされる。イドリース1世は791年に急死したが、遺児イドリース2世のもとで9世紀初頭にフェスの建設が本格化し、アンダルスやカイラワーンからの移住者を迎えて都市は学問と交易の中心に成長した。9世紀半ばに創建されたカラウィーイーン・モスクは、後にイスラーム世界有数の学問の場となる。王朝自体は10世紀後半に衰退して各地の勢力に取って代わられたが、預言者の子孫(シャリーフ)による統治という正統性の観念は、その後のモロッコ史に長く受け継がれた。